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【ふみの文】母はひるまない—知らないを、知ってもらう戦い ※ブログ限定

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テキストでつづるエッセイ「ふみの文」

母はひるまない—知らないを、知ってもらう戦い

母は戦っている。
相手は人ではなく、古くてくたびれた『空気』みたいなものだ。

私のふるさとは、昔はとても封建的だった。
ピラミッドの頂点には年配の男性。彼らを中心によくわからない制度や決まり事がはびこっていた。
腹の内を見せない、悪い意味での『前近代的な田舎』だった。

「だった」と過去形で書けるのは、今は少し違うからだ。
代替わりが進み、私の母の世代が主力になってきたころ、
外から移り住む人も少しずつ増えた。
それを機に、理由のないしきたりや、くだらない人間関係を、
みんなで結託して片づけていったらしい。

あのころは、子どもだった私でさえ「それ、なんのため?」と
思ったルールがいくつもあった。
あれが真っ先になくなったと聞いたときは、正直うれしかった。

でも、オールクリアではない。
母は今も、近所の『新しい考えの仲間』と一緒に、地域を少しずつ磨いている。

先日のこと。
母に頼まれて留守番をしていたら、急にけむたくなった。野焼きだ。
あわてて家じゅうの窓をしめた。
理解のある人は順にやめてくれているのに、どうしてもやめない人がいる。
それは最近、畑の管理を依頼された業者。
ちょっとアウトローな雰囲気で、近所の人は言いにくいらしい。

けれど母は、ひるまなかった。
留守から戻るなり、同志の女性と連れ立って業者のもとへ。
「環境への影響もあるし、最近は小さい子も移り住んできてる」
そう、こんこんと話したという。
結果は意外とすんなり。業者は素直に火を消しに行ってくれた。

帰ってきた母は、少し得意げに笑って言った。

「時代は変わったやん? 昔は言われへんで苦労したけど、
今は年齢も味方してくれるし、『いうたるで』って思ってさ。
それにさ、意外と『知らん』って人、多いねん。
言うてみな、わからんままやで」

意外だった。
『わからないだけ』って、こんなに多いのか。

母は今日も戦っている。
誰かを打ち負かす戦いじゃない。
知らないを、知ってもらう戦いだ。
そう思うと、風通しのいい未来が、ほんの少し近くなった気がした。

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■ふみの文
テキストのエッセイで子育て、暮らし、ワーママとしての日常で思ったいろんなことを投稿しています。コミックエッセイとはまた違う形でお楽しみください。

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