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テキストでつづるエッセイ「ふみの文」
思わぬところで、小さいころの娘を感じた夏~ウルトラソウルを添えて~

娘は小学生。いわゆる高学年というやつだ。
インスタで保育園時代のちんまりした動きを描いていた頃から、気づけば背も伸び、父にはしっかり口答えをし
私とは人間関係や進路めいた相談までしてくる。もう「小さな子と話している」感覚ではなくなってきた。
それでも変わらないのが、泳ぐことが大好きだという事実。
この前、身長が条件をクリアしたので、初めて遊園地の大きなプールへ連れていった。
スライダーに乗れるのが嬉しくて、娘はキラキラ顔で走り回る。
その中でも彼女が一番ハマったのは、 音楽大音量&水バズーカがドッカンと飛び出すイベントだ。
開始時刻になるたび、該当プールへダッシュ。そこは水深が、彼女の身長より深い。
おかまいなしにザブザブ入っていこうとするので、さすがに私も付き添うことにした。
音楽のイントロが鳴った瞬間、空気が変わる。
――この感じ、B’zのあの曲だ。プールに合いすぎる。
周りのテンションがいっせいに沸き立ち、押された娘が私にしがみついてきた。私は抱っこの形で支える。
ああ、この感覚。ひさしぶりだ。
成長につれて重くなった現実に負け、地上での抱っこはとっくに引退していた。
手をつなぐのも、最近は照れくさがって「今はいい」と言われる。
けれど今は水の浮力が物理的に味方をしてくれて、あの頃を思い出せた。
私は稲葉さんの声をBGMに、一瞬だけ時間が巻き戻るのを感じた。
サビにさしかかると、娘は全身でのりだしてきた。
水しぶきは空に、笑顔はさらに。私は抱っこ係兼・浮き輪。
大衆は大きな声でサビを叫ぶ中、彼女は大絶叫した
「ぶーっとばそー!へーい!!」
かわいい。
「まだまだ、おこちゃまでもええよ」と心の中でつぶやく。
イベントが終わると、娘はまたスライダーへ走り去った。
私の腕に残ったのは、ほんの少しの水と、昔のぬくもりの記憶。
翌日うっすら筋肉痛になったのは、たぶん重さじゃない。
ノスタルジーは、あとから静かに請求書を送ってくるんだろう。
それでもまあいいや。また水中抱っこで若返らせてほしい。
来年もまたここで。
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