散歩を続けていたら、見えるものが増えた

タイトルどおり、私は散歩が好きだ。
始めたきっかけは、健康のためだった。
ウォーキングってお金かかんないし、いいやんってくらいのノリ。
正直に言うと、始めたころは面倒で仕方なかった。
今日は休んで明日でいいか、と自分に言い訳をしながら、
それでも今日は3分だけとか、家の周りだけ歩くとか
自分をだましだまし続けているうちに、
少しずつ変化を感じるようになってきた。
温度の違い。
時間帯による光の角度。
雨上がりのにおい。
同じ道なのに、明暗や季節でまったく別の顔になる景色。
いつもなら見落とすちいさなできごと、モノ。
歩くこと自体よりも
歩くことで『見えるようになるもの』が楽しくなったのだ。
気づけば続いて数年。
休みをはさみつつ、今も続いている。
せっかくなので、この数年で出会った興味深いものを挙げてみる。
■ 公園の黒虎
いつも同じ場所で見かける男性がいる。
真夏でも真冬でも、雨の日でさえ、
そでをまくり上げたTシャツ姿で走り、公園のベンチで黙々と腹筋をしている。
曇り空ひとつで「今日はやめとこ」と意志が折れる私からするともう尊敬しかない。
私は心の中で、彼に「公園の黒虎」という称号を与えている。(何様なのか)
きっと彼のほうも思っているだろう。
「あの人、今日は暑いから来ないな」とか。
お互い、勝手に観察し合っている気はする。
■ 緑のアイツ
とある民家の庭先に、
信楽焼っぽい、親しみのあるたぬきの置物がある。
ある日、ふと見ると、
そのたぬきが緑色に塗りなおされていた。
今も、緑のまま鎮座している。
赤いあの子は、いつ現れるのだろう。
密かな楽しみである。
■ とある飲食店の換気口
ある道を歩いていると、飲食店が並ぶ一角に出る。
その中の一軒の換気口から、何かが地面にぽとぽと流れていた。
最初はのんきに思った。
名作『となりのトトロ』の、
まっくろくろすけが空へ帰るシーンみたいだな、と。
だが、近づいて気づいた。
艶々している。あいつだ。
これ以上は言わない。察してほしい。
ちなみにその店が営業しているところは
一度も見たことがない。
おそらく廃業している。
その点は、安心してほしい。
■ グループホームの窓辺
早朝、とあるグループホームの前を通ると、
高確率で窓辺に座っているおばあさんがいた。
反射的に頭を下げると、
必ず、返してくださった。
その道が歩きやすくて何度も通ううち、
自然と挨拶を交わす関係になった。
ある時期から、姿を見かけなくなった。
「あれ?」と思い、
それはいつのまにか心配に変わっていた。
ガラス越しに会う関係だけなのに
妙に落ち着かなかった。
それに気づいてからはなんとなくその道を避けて歩いていた。
ある日、そんなことを忘れて気まぐれで通ると、
おばあさんは、ちゃんとそこに座っていた。
いつも通り、挨拶もしてくれた。
挨拶しか交わさない関係なのに、
会えて、心からうれしかった。
よかったー。
散歩の醍醐味は、
元気で、天気がよければ、
どこでも始められるところだと思う。
思わぬ抜け道を見つけたり、
猫や、まれにタヌキに出会ったり、
旅先で知らない土地を歩いたり。
(スマホの地図アプリは必須だけれど)
音楽がお供であれば、なおさらいい。
散歩は、わたしにとって
喧騒から少しだけ離れさせてくれて自分に集中でき
小さい物事に気を付かせて丁寧に見るための時間になっている気がする。
今日も、特別な予定はないけれど、歩いてみようと思う。
また何か見つかったら、ここに書き留めておく。
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