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【ふみの文】トレカ販売店で見た「無理強いのない平等」※ブログ限定

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テキストでつづるエッセイ「ふみの文」

トレカ販売店で見た「無理強いのない平等」

トレカ。
それは「トレーディングカード」の略である。

近年は転売だの高額落札だのでニュースをにぎわせている。
子どもも、レアカードだのなんだのはさておき、楽しそうに集めている。
私の知識はその程度だ。
正直、私の人生には一生かすりもしないものだと思っていた。

ある日を境に、その“無縁”がひっくり返る。
人生なにが起こるかわからないものだね。

その日はひょんなことからトレカの販売店へ足を運ぶことになった。

場所は大都会の隅っこのさらに隅。
ヒョロリと立つ、ほんとうに狭いビルの2階にあった。
あまりにも堂々としていない佇まいに、まずビビる。

当然、エスカレーターなんてない。
1階の奥にある階段を上ると、そこはカードプレイを楽しむ会場だった。
狭い空間にギッチリ敷き詰められた机と椅子。
そこにまたギッチリと人間が収まり、カードゲームを勤しんでいる。

人が多すぎて、なんだか部屋が白く煙っているように見えた。
しかし不思議なことに、この人数なのにぜんぜん騒がしくない。
声の量が、人の数に比例していないのだ。
皆真剣に試合に没入している。

よくよく見回すと、いろんな人がいた。

小さな少年が、初老といっていい歳の男性と。
ロリータ服をまとった女の子が、
「お母さんに選んでもらったんだろうな」と思う服の男性と。
スーツをパリッと着たビジネスマンが、寝起きそのままの女性と。
車椅子の中年男性は、どこかの制服を着た男の子と対戦している。

見た目も歳も性別も健康も関係なく、
同じテーブルで真剣勝負をしている。

これってすごいことでは?
近年テレビで偉い人が「これをすれば均等な考えになる」だの、
かわいいキャラクターが「みんなで手を取り合って助け合おう」と語り掛けるのを見かける。

いや、助け合うこと自体は大賛成なのだ。
でも、テレビで見るあれはどこか押し付けがましくて、ちょっと強制的に感じる。

ここにはそんな無理強いがまったくない。
SDGsとか決めてる偉い人よ、ここに平等のヒントがあるんじゃない?

……と熱く思ったものの、私はカードのルールを一切知らない。
目の前で繰り広げられる勝負の意味がまったくわからず、
この場に長居するのも申し訳なくなって、
おとなしく階段をトコトコ下りた。

その夜、子どもにこの話をしたら、ニコニコしながら
「じゃあママも仲間入り!」とかわいいキャラクターのトレカを何枚かくれた。
「いつかあそぼうね」と。

カードゲームはできないけど、なんだかちょっとカードゲーマーの仲間入りができたのかも。これで私は偉い人に一歩近づいたのだ。
でも正直、次の対戦相手は偉い人よりも、うちの子のほうが強そうな気がする。

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